これからタイ語検定を受けてみようと考えている人の中には、各級の難易度がどの程度のレベルか気になっている方もいるかと思います。
タイ語検定には5~1級まであり、級に応じて問題の難易度が異なります。
本記事では、タイ語検定の難易度を各級解説しています。
また、各級の合格者が日常生活や仕事においてできることも一緒にまとめましたので、タイ語学習の目標設定にも役立ててください。
日本タイ語検定協会が公開している実用タイ語検定試験の評価基準
まず、実用タイ語検定試験を主催している日本タイ語検定協会が公開している評価基準をご紹介します。
実用タイ語検定試験 [タイ検] 5級
入門レベルの文法知識と語彙をカタカナ発音表記またはローマ字発音表記で習得し、それらを用いて表現できること。ゆっくりであれば8単語程度までの簡単な文章の聴解と発音ができる。挨拶や自己紹介、意思表示が可能なレベル。(カタカナ発音表記とローマ字発音表記の併記で出題)実用タイ語検定試験 [タイ検] 4級
初級レベルの文法知識と語彙をタイ文字で習得し、それらを用いて表現できること。ゆっくりであれば10単語程度までの簡単な文章の聴解と発音ができる。簡単な会話が可能なレベル。実用タイ語検定試験 [タイ検] 3級
日常生活を送るのに必要な中級レベルの文法知識と語彙を習得し、それらを用いて表現できること。短い文章の読解・聴解・記述・口述ができる。日常生活においてタイ人と意思疎通が可能なレベル。実用タイ語検定試験 [タイ検] 準2級
社会生活を送るのに不可欠な中上級レベルの文法知識と語彙を習得し、それらを用いて的確に表現できること。やや長い文章の読解・聴解・記述・口述ができる。一般的な業務や職務においてタイ人との意思疎通が可能なレベル。実用タイ語検定試験 [タイ検] 2級
社会生活を送るのに必要な上級レベルの文法知識と語彙を習得し、それらを用いて流暢に表現できること。高度な専門用語を含まない新聞記事・論説文・物語の読解、ニュース・アナウンスの聴解ができ、テーマに沿って論述することもできる。一般的なタイ語翻訳やタイ語通訳が可能なレベル。実用タイ語検定試験 [タイ検] 1級
引用元:評価基準と査定内容
標準的なタイ語を口語、文語ともに不自由なく使いこなし、タイ人と遜色なく自然かつ正確に表現できること。専門的な文献の読解と翻訳、司法行政、政治経済、商談契約に関する通訳ができる。全国通訳案内士の外国語筆記試験合格レベル。
実用タイ語検定試験の全体の傾向
実用タイ語検定試験は、どの級においても細かな文法の用法を問うような問題は頻出しません。強引に言えば、3級程度までなら語彙力でごり押し合格も十分狙えます。(後述しますが、「語彙力だけ」でもなかなか難しいのがタイ語です。)
準2級以降は4択形式ではなく記述式となり、日タイ翻訳問題も出題されるため語彙だけではなく、タイ語での表現や慣用句など知識の幅を広げる必要があります。
それでも、タイ語は動詞の活用もなければ格変化もない、言わば語順さえ合っていれば意味の通じる言語ですので全体の傾向として文法について深く気にする必要はないでしょう。
ここで、「タイ語の文法は簡単だ」、「3級までは語彙だけで大丈夫」と断言すると簡単な試験であるかのように聞こえるかもしれません。
しかしタイ語の難しさは日本人にとって非常になじみの薄い声調とタイ文字にあります。声調の違いによって意味の異なる語彙が多数存在し、特殊なタイ文字のルールを覚え、句読点が一切存在しないまるで呪文のようなタイ語をマスターすることは多くの時間を要します。
しかしここで心が折れてしまってはタイ語はいつまでたっても上達しません。
今一度自分自身のタイ語を勉強する目的を見つめなおして、どの級のタイ語検定を受験するのか考えてみましょう。
全体の傾向まとめ
- タイ語は文法がシンプルであることから、ややこしい文法を問う問題は出ない
- 文法問題が少ない代わりに、難解なタイ文字を使いこなすのに時間がかかる
- どの級においても語彙力をつけることが合格への近道
実用タイ語検定の各級合格率についてはこちらの記事にまとめました。
本記事では各級ごとの難易度と共に、必要と思われる語彙数をまとめていますので、自分の到達目標と照らし合わせながら受験する級を決める参考にしてください。
実用タイ語検定試験の難易度チェック!あなたは何級を目指す?
実用タイ語検定試験5級の難易度、語彙、レベル
難易度
5級はカタカナ・ローマ字表記での出題となるため、タイ文字を理解している必要はありません。まだタイ語を学習し始めたばかりの方が最初の目標とするレベルのテストでしょう。タイ語の文章を読むというテスト項目はなく、文の構造を理解しているのかを図るための穴埋め問題や、文章の並べ替え問題などが出題されます。
語彙力の目安
896語。※ 『テストに出る順!タイ語検定単語集 』参照
5級保持者のレベルについて
「これがほしい」「こっちのほうがいい」「私は○○がしたい」などシンプルな単文をタイ人に伝えることができます。またそれに対するシンプルな単文の返答が理解できます。
【Amazon】実用タイ語検定試験 問題集 5級 「並べ替え問題編」 222問実用タイ語検定試験4級の難易度、語彙レベル
難易度
4級からはタイ文字での出題となります。
タイ文字の構造・基本的なルールを覚えることが学習者にとっての一つ目のハードルになるでしょう。また5級に比べ全体的に問題文の単語数が若干増えます。
さらに穴埋めや文の並び替えだけではなく、文章から情報を読み取り問いに答える長文読解のような問題も出題されます。そこまで長い文ではありませんが、タイ語を読むということに対して抵抗感をなくしておくといいでしょう。
語彙力の目安
1277語。※ 『テストに出る順!タイ語検定単語集 』参照
4級保持者のレベルについて
タクシーにのったり、市場で買い物をする際、複数の語彙を用いて会話をすることができます。また、少し時間がかかりますがタイ文字を見て読み方が何となくわかります。
知っている単語であればタイ文字でも理解できます。
実用タイ語検定試験3級の難易度、語彙レベル
難易度
3級では出題される問題の語彙が4級と比べてぐんと難しくなります。
4級を既に合格した方は、そのまま語彙力の強化を意識しましょう。3級合格レベルの語彙数があれば、日常生活で困ることはかなり減ります。
語学手当のあるタイの日系企業の場合、3級くらいから手当を出すケースが多いそうです。
ビジネスレベルには及ばずとも簡単な意思疎通をタイ人と行うことができるようになることから、企業からも評価されるレベルといえます。
語彙力の目安
1691語。※ 『テストに出る順!タイ語検定単語集 』参照
3級保持者のレベルについて
日常会話において、タイ人と意思疎通が可能なレベル。
タイ語の文法はシンプルであることから、3級レベルであれば一通りの基礎文法はマスターしていると言えます。
仕事においてもルーティンワークや基礎的なやり取りが可能になります。
タイ語の文書やメールを読むには少々時間がかかりますが、このレベルになると見たことのない語彙に遭遇しても読み方がわかり、分からない語彙は辞書を引くということができるため、できることの幅が広がります。
実用タイ語検定試験準2級の難易度、語彙レベル
難易度
準2級からは4択問題に加え、記述問題も出題されます。
記述の内容としては、穴埋めをタイ語で答える問題や約30文字前後の日本語をタイ語に翻訳する問題が出ます。また長文問題も1~2ページに渡るため、時間配分を意識しながら解ける問題や部分点を狙える箇所を優先して解いていく必要があります。
出題例:穴埋め問題
国民身分証明書の代わりに運転免許が使える場合もあります。
ในบางกรณีใช้ใบขับขี่ ( )บัตรประชาชนได้เหมือนกัน
実用タイ語検定 2015年春季準2級試験
出題例:日本語からタイ語への翻訳問題
本を読んで役に立つと思ったことは、必ず実践するようにしている。
実用タイ語検定 2015年春季準2級試験
語彙力の目安
2000語以上。
準2級保持者のレベルについて
やや長い文章の読解が可能です。難解なものでなければ問題なく理解でき、仕事においても生かすことができるようになります。また、シンプルなタイ語の文章を記述することも可能です。ルーティンになっている業務連絡等のタイ語のやり取りはほぼ問題がありませんが、専門的な内容や複雑な経緯を伝えたり等は難しく感じます。
実用タイ語検定試験2級の難易度、語彙レベル
難易度
2級からの語彙はさらにレベルが上がり、日常的にタイ語を目にしていないと遭遇できないような単語が出題されます。このレベルからは市販の参考書に加え日常的に新聞等のタイ語記事を読む等、根気よくタイ語に取り組むことが学習のポイントになります。
また2級からは2次試験があるため、スピーキングを伸ばす訓練も必要です。
語彙力の目安
2500語以上。
2級保持者のレベルについて
高度な専門用語を含まなければ、新聞記事やニュースを理解することができます。
また専門用語を含まない一般的な通訳が可能です。
実用タイ語検定試験1級の難易度、語彙レベル
難易度
タイ語検定の最上級レベルともあって、タイ語の4技能がほぼ不自由なく扱えるようなレベル感です。王室用語も出題されることから、タイ語がただできるだけではなくそれ相応の教養や社会性も必要といえます。幅広い分野から問題が出題されるため、タイの一般常識についてもおさえておく必要があります。
語彙力の目安
3000語以上。
1級保持者のレベルについて
タイ語検定を主催するタイ語検定協会でも発表されている通り、1級レベルはタイ人と遜色なく自然かつ正確に表現でき、専門的な内容を含む通訳も可能なレベルとされています。1級はタイ語の技能のみならず、タイの一般常識や文化的な理解がなければ合格は難しいため、通訳を依頼する際、1級保持者は信頼が厚いと言えます。
合わせて読みたい