海外移住の基礎知識

海外現地採用の社会保険はどうなる?を知識ゼロから優しく解説-その1【2020年版】

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社会保険1

海外就職を目指している、あるいは海外で仕事が見つかったという方は、海外移住に向けて日本の社会保険を引き続き加入するのか、それとも継続しないのか選択する必要があります。

本記事では社会保険とは何を指すのか、基本的な説明から海外在住(非居住者)となる場合の社会保険の取り扱い、継続加入する場合・しない場合のメリット・デメリットなどを解説します。

病気や怪我をしてから高額な医療費に白目をむく…ということにならないために、しっかり事前知識をつけておきましょう!

これから海外に行く人は知っておかなければならない社会保険の基本

健康保険や年金等の社会保険は国が法律で強制加入を義務付けており、日本で会社員をやっている人は勤め先の企業が加入手続きを行っています。(短期のパート・アルバイトや自営業の場合は個人で加入します。)

ほとんどの日本人にとって、社会保険の加入手続きは会社が勝手にやってくれているのであまり意識をしたことがないかもしれません。しかし、日本の社会保険制度は海外と比べて非常に手厚い内容となっています

そのため、海外に出る場合はまず、①日本の社会保険制度の内容、②働きたい国の社会保険制度、医療制度の内容、最低限この二つを情報収集し、日本の社会保険制度に引き続き加入するのか否か、適切に判断する必要があります

この記事では、「①日本の社会保険制度の概要や保障内容」を説明します。
この社会保険制度について、海外在住者はどのように取り扱われるのか、社会保険に継続加入する場合としない場合のメリット・デメリットについてはこちらの記事で解説しています。

この記事で解説していること

この記事のヒトコトまとめ&知っ得内容

  • 日本に住所がない場合は社会保険の加入義務はない
  • 広義の社会保険は5つの保険を指す(医療・年金・介護・労災・雇用)
  • 日本の医療制度は他国よりも手厚く、3割負担で医療機関に受診できる
  • 海外に居住していても「カラ期間」として年金を受け取るために必要な期間(10年)に算入できる
  • 雇用保険に加入していたなら失業給付や教育訓練給付を受けることができる

社会保険とは

そもそも社会保険ってなんだっけ?

病気・ケガ・死亡などの生活上のリスク について、 国民があらかじめお金(保険料)を出し合い、リスクに見舞われた方に必要なお金やサービスを支給する 制度を社会保険といいます。

日本の社会保険は国が強制加入を義務付けていますが、それは日本に居住していることを前提としています。海外に住んでいる場合はその限りではありません

社会保険に含まれる5つの保険(広義での解釈)

日本の社会保険はどういう内容なの?

広義の社会保険は次の5つを指します。

  1. 医療保険:病気・怪我をしたとき3割負担で医療機関の受診ができる
  2. 年金保険:原則65歳から受け取れる老齢年金、遺族年金、障害年金などを含む
  3. 介護保険:要介護・要支援の認定を受けた場合、給付を受けられる
  4. 雇用保険:失業した際、失業給付や教育訓練給付等が受けられる
  5. 労災保険:業務上・通勤途上における病気やケガに対する給付が受けられる

5つの保険の特徴と保障内容

1-1. 医療保険(健康保険)の特徴

日本の医療保険は「国民皆保険」制度です。
これにより、国民全員を公的医療保険で保障しています。
また、医療機関を自由に選択することができ、安価な医療費で高度な医療を受けることができます。

1-2.医療保険(健康保険)の保障内容

もっとも有名なのは、「医療費3割負担」ですね。
病気や怪我で治療を受けたとき、窓口で支払う金額は総額の内、原則3割となる制度です。(小学生未満と70歳~74歳は2割負担、75歳以上は1割負担となります。)
他にも、高額療養費、傷病手当金、出産育児一時金などがあります。

実は海外ではここまで手厚い制度を施していないことがほとんどです

海外との違いについて、日本医師会のサイトでわかりやすく解説されていたのでご紹介します。→日本医師会『日本と諸外国の医療水準と医療費』

自分の働く国の医療制度がどのようなものか、必ず情報収集しておきましょう。

「医療保険」まとめ

  • 日本に居住する場合、健康保険は強制加入
  • 会社に勤めている場合は「健康保険」、自営業やバイトは「国民健康保険」に加入する
  • 3割負担で医療機関に受診できるなど、他国と比べ日本の医療保険制度は非常に優れている

2-1.年金保険の特徴

健康保険同様、日本の年金にも「国民皆年金」制度があります。

「日本国内に住所を有する人」は全員加入義務がある「国民年金」。会社員・公務員等はさらに「厚生年金」に加入します。

✓ これから海外に移住する人向けチェックポイント

日本の会社を退職したら、厚生年金から国民年金へ切り替えが必要です。

さらに国外に行く場合は、国民年金を任意で加入継続するのかしないのかを決める必要があります。

「海外在住は一時的なもので、老後は日本で暮らしたい」
「将来受給できる年金を増やしたい」
「海外で障害が残る病気や怪我をした場合に日本で障害年金を受け取りたい」
「万が一海外で死亡した場合、遺族年金を家族に残したい」

…このような方は任意加入も検討してみることをお勧めします。

ちなみに任意加入しなくても、海外在住期間は合算対象期間(カラ期間)として、老齢基礎年金を受給するために必要な期間に算入されます。

✓ 老齢年金の受給資格期間

保険料支払い期間が10年未満であれば老齢年金を受け取ることができません。ただし、海外に行っている期間は保険料免除とされ、その期間は保険料支払い期間に算入されます。※保険料免除期間とするためには手続きが必要です。

保険料納付済期間+国民年金の保険料免除期間(国外に居住した期間)=10年以上

2-2.年金保険の保障内容

大きく3つに分けることができます。

  1. 老齢年金:原則65歳から受給できます(繰り上げ・繰り下げ支給も可能)。
  2. 障害年金:障害を負った場合に支給される年金です。
  3. 遺族年金:被保険者が死亡した場合、遺族が生活保障として受け取れる年金です。

「年金保険」まとめ

  • 非居住者は国民年金に加入しなくてもよい
  • 任意で加入することもできる
  • 年金の「受給資格期間」は10年。支払わない場合でも届出を出せばカラ期間として算入できる

3-1.介護保険の特徴と保障内容

保険料は健康保険料、国民健康保険料などに上乗せして納付します。
要介護もしくは要支援の認定を受けたものが給付を受けられます。

4-1.雇用保険の特徴

日本の会社に雇用されている場合は、以下のような要件を満たせば必ず加入することになるものです。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 賃金月額が8.8万円以上、年額約106万円以上
  • 1年以上勤務の見込みがある
  • 厚生年金被保険者の従業員が501名以上の勤務先で就労している
  • 学生でない

4-2.雇用保険の保障内容

失業給付、再就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付などがあります。

海外就職まで期間が空いている場合、転職活動が長引く場合は、失業給付や教育訓練給付など利用できるかもしれません。是非確認してみてください。

5-1.労災保険の特徴と保障内容

パート・アルバイトを含む全ての労働者が対象になる労災保険ですが、保険料は全額事業主負担となっているため、普段あまり意識することはないかと思います。業務上や通勤途上における病気や怪我に適用されます。

まとめ

以上、日本の社会保険の内容を簡単にご紹介しました。
日本に住んでいる日本人であれば当たり前に享受できることですが、海外に出るとこれが当たり前ではないということを頭の隅においておきましょう。

もし海外に出ても日本の社会保険に引き続き加入したい場合は国民健康保険料、国民年金保険料を全て自分で支払うことになります。

その場合は高額な保険料を支払い続ける必要があるので保険料がどの程度になるか先に調べておきましょう。

次の記事では、海外居住者に対する日本の社会保険制度の取り扱い、日本の社会保険を継続加入する場合のメリット・デメリットについてまとめています

自分が働く国の社会保障制度について知り、就業先の福利厚生でどこまでカバーできるのかを確認すること、その際、自分が許容できるリスクの範囲を明確にすることが大事です。

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